お金と確定申告

【2025年更新】住所地・居所地・事業所在地の違いとは?確定申告での正しい納税地の選び方

【2025年更新】住所地・居所地・事業所在地の違いとは?確定申告での正しい納税地の選び方
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ひとり起業ラボ編集部

「ひとりで始めて、ひとりで悩まない」をテーマに、 開業・副業・フリーランスのリアルを伝えるWebメディア。 自身も個人事業主としての経験をもつ税理士・編集者・クリエイター陣が、 ひとり起業の“あるあるな壁”に寄り添いながら、やさしく解説します。 【得意ジャンル】:開業・会計・確定申告・法人化・業務効率化・コンテンツ運営 【監修協力】:現役税理士・社労士・デザイナー・Webマーケター

確定申告や税務署への各種手続きをするとき、必ず記入を求められる「住所地」「居所地」「事業所所在地」。これらの違いがわからず、どれを納税地として選べばよいのか迷った経験はありませんか?

特に個人事業主やフリーランスの方にとって、自宅兼事務所で仕事をしている場合や、複数の拠点で活動している場合は、正しい納税地がどこになるのか疑問に思うこともあるでしょう。

この記事では、住所地・居所地・事業所所在地の違いと、確定申告時の正しい納税地の選び方について、わかりやすく解説します。

住所地・居所地・事業所所在地の違い

まずは、それぞれの定義をしっかり理解しましょう。

住所地とは

住所地とは、あなたの生活の本拠となっている場所のことです。

「生活の本拠」とは、客観的にみてそこを中心として日常生活を営んでいる場所を指します。一般的には、家族と一緒に暮らしている自宅や、単身赴任先の住居などが該当します。

住所地の判断基準:

  • 家族と一緒に住んでいる場所
  • 日常的に寝泊まりしている場所
  • 生活用品の大部分が置かれている場所
  • 公共料金の契約者になっている場所

居所地とは

居所地とは、一定期間継続して居住しているものの、住所ほど生活と密接ではない場所のことです。

つまり、そこで生活はするけれども、「生活の本拠」とまでは言えない場所です。具体的には、以下のような場所が居所地に該当します:

  • セカンドハウス
  • 定期的に通っている別荘
  • 単身赴任先(家族の住む自宅が住所地の場合)
  • 長期滞在している宿泊施設

事業所所在地とは

事業所所在地とは、事業活動を行うために使用している場所のことです。

個人事業主やフリーランスの方の場合、生活の拠点である住所地とは別に事務所やオフィスを借りて仕事をしている場合、その場所が事業所所在地となります。

事業所所在地の例:

  • 賃貸オフィス
  • コワーキングスペース(専用デスクを契約している場合)
  • 店舗
  • 工場
  • アトリエやスタジオ

なお、自宅兼事務所の場合は、同じ場所が住所地であり事業所所在地でもあります。

住所地・居所地・事業所所在地の違いと納税地の選び方 住所地 生活の本拠地 居所地 一時的な生活拠点 事業所所在地 事業活動を行う場所 納税地の選び方 1. 原則として「住所地」が納税地になります 2. 住所がない場合は「居所地」が納税地になります 特例 届出により「居所地」や「事業所所在地」を 納税地にすることもできます ※納税地の変更には「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」の提出が必要です © ひとり起業ラボ

納税地はどこを選ぶべきか

納税地とは、所得税の確定申告書を提出する税務署を管轄する地域のことです。では、どの場所を納税地とすべきでしょうか?

基本的な納税地の決まり方

原則として、納税地は以下の優先順位で決まります:

  1. 国内に住所がある場合 → その住所地
  2. 国内に住所がなく居所がある場合 → その居所地
  3. 国内に住所も居所もない場合 → 後述する特別なルールで決定

つまり、多くの方にとっては「住所地」が納税地となります。自宅と事務所が別の場所にある場合でも、基本的には住所地が納税地です。

例えば、東京都渋谷区に自宅があり、新宿区に事務所がある場合、納税地は渋谷区となります。

住所地の判断が難しい場合

複数の住居を持っている場合など、どこが住所地になるか判断が難しいケースもあります。その場合は、以下の要素から総合的に判断します:

  • 滞在日数の多い場所
  • 家族が住んでいる場所
  • 重要な財産が保管されている場所
  • 公的書類に記載されている住所
  • 公共料金の支払い状況

例えば、都内のマンションと地方の実家を行き来している場合、滞在日数が多い方や、住民票がある方が住所地となる可能性が高いでしょう。

納税地の特例と変更手続き

基本的に納税地は住所地ですが、以下のような特例があります。

納税地の特例

  1. 居所地を納税地にする特例
    • 国内に住所と居所の両方がある場合、届出により居所地を納税地にできます
    • 例:本来の住所は地方だが、仕事の関係で都内のマンションに長期滞在している場合など
  2. 事業所所在地を納税地にする特例
    • 国内に住所地・居所地に加えて別の事業所がある場合、届出により事業所所在地を納税地にできます
    • 例:住所は埼玉県だが、事業所が東京都内にある場合など

納税地変更手続きの方法

納税地を変更するには、以下の手続きが必要です:

  1. 「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を提出
    • 提出先:本来の納税地(通常は住所地)を管轄する税務署長
    • 提出期限:特にありませんが、確定申告の時期前に提出するのが望ましい
  2. 必要書類
    • 納税地の変更に関する届出書(税務署窓口やe-Taxで入手可能)
    • 新たな納税地の確認資料(賃貸契約書や公共料金の領収書など)
  3. 記入のポイント
    • 現在の納税地と変更後の納税地を明確に記載
    • 変更を希望する理由を具体的に記載
    • 事業内容や所得の種類も記載

納税地の変更届出書の記入例は国税庁のWebサイトで確認できます。

国内に住所も居所もない場合の納税地

海外に長期滞在していたり、日本国内に定まった住所・居所がない場合は、以下の順序で納税地が決まります:

国内に住所・居所がない場合の納税地判断手順

  1. 国内で事業を行っており、事務所等がある場合
    • その事務所等の所在地が納税地
  2. 上記以外で、以前の住所・居所に親族等が引き続き居住している場合
    • 以前の住所・居所が納税地
  3. 上記以外で、国内の不動産から賃料収入等を得ている場合
    • その不動産の所在地(複数ある場合は主たる資産の所在地)
  4. 上記の条件からはずれた場合
    • 該当しなくなった時点の直前の納税地
  5. 上記以外で、所得税の申告や請求等を行う場合
    • 本人が選択した場所
  6. 上記のいずれにも該当しない場合
    • 所轄税務署の管轄区域内の場所
納税地決定フローチャート スタート 国内に住所がありますか? はい 納税地は住所地 いいえ 国内に居所がありますか? はい 納税地は居所地 いいえ 国内に事業所がありますか? はい 納税地は事業所所在地 いいえ 特殊なケース 国税庁のルールに従って判断 納税地の特例 届出により ・住所地→居所地 ・住所地→事業所所在地 に変更することも できます ※納税地の変更・特例適用には届出書の提出が必要です © ひとり起業ラボ

よくある質問

Q1: 自宅兼事務所の場合、納税地はどうなりますか?

A: 自宅兼事務所の場合、同じ場所が「住所地」であり「事業所所在地」でもあります。納税地は住所地なので、そのまま自宅兼事務所の所在地となります。特別な手続きは不要です。

Q2: 引っ越したら納税地も変わりますか?

A: はい、住所地が変わると納税地も変わります。引っ越し先が別の税務署の管轄区域になる場合は、新しい管轄の税務署に「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」を提出する必要があります。

Q3: 納税地と住民税を納める自治体は同じですか?

A: 必ずしも同じではありません。住民税は1月1日時点での住所地の自治体に納めます。一方、所得税の納税地は実際の住所地や特例で選択した場所になります。例えば、年の途中で引っ越した場合、住民税と所得税の納付先が異なることがあります。

Q4: 会社員ですが、確定申告が必要な場合の納税地はどこですか?

A: 会社員で確定申告が必要な場合(副業がある、医療費控除を受けるなど)も、原則として住所地が納税地となります。会社の所在地ではないので注意しましょう。

Q5: 複数の事業所がある場合の納税地はどうなりますか?

A: 複数の事業所がある場合でも、基本的には住所地が納税地です。ただし、届出により主たる事業所の所在地を納税地にすることも可能です。その場合、「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」の提出が必要です。

まとめ

  • 住所地は生活の本拠地:日常生活の中心となる場所
  • 居所地はセカンドハウスのような場所:一時的に生活する場所だが本拠地ではない
  • 事業所所在地は事務所や店舗の場所:事業活動を行う場所
  • 納税地は原則として住所地:特例により変更も可能
  • 納税地の変更には届出が必要:「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を提出

税務に関することは、ご自身の状況によって最適な選択が異なります。不明点があれば、管轄の税務署や税理士にご相談ください。適切な納税地を選ぶことで、確定申告手続きをスムーズに進めることができます。


この記事は2025年4月現在の情報に基づいて作成されています。税制は改正されることがありますので、最新情報は国税庁のWebサイトなどでご確認ください。

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