現金の入出金の事実に基づいて帳簿付けを行う「現金主義」
この現金主義で帳簿付けを行い確定申告をするには一定の条件と手続き申請を行わなければいけません。
その申請条件と届出書類の記載例を交えて解説しています。
現金主義による所得計算の特例を受けるための届出書
本来「発生主義」という方法に基づいて確定申告書を作成して申告を行わなければいけませんが
条件を満たした不動産所得と事業所得に限って「現金主義」を採用して計算を行っても良いとされています。
現金主義の特例を受けるための条件
以下の三つの条件を満たした申告者は現金主義によって帳簿付け行うことが出来ます。
- 青色申告者で不動産所得か事業所得の人
- 前々年の所得金額が300万円以下の小規模事業者※
- 現金主義の特例を受ける届出を期限内に提出する
不動産所得か事業所得の青色申告者で前前年の所得300万円以下の小規模事業者に限られます。
山林所得のみの方や白色申告の方は現金主義による計算はできません。
前々年の所得金額の判定
前々年の不動産・事業所得+経費にした専従者給与≦300万円
届出を提出する期限
適用を受ける年の3月15日までに提出します。
(その年の1月16日以降に新しく開業した場合は、開業した日から2か月以内)
提出期限内に届出を行わないと現金主義による帳簿付けで確定申告をすることはできないので注意しましょう。
届出の記載例
表面 | 裏面 |
記載箇所のポイントを解説!
納税地・氏名等の記入
基本的に開業届を記入した時と同じ内容の情報を記入します。
1.この特例の適用を受けようとする年の前々年の所得
30年の申告で現金主義の特例を受ける場合は28年に申告した時の所得を記入しましょう。
収入ではなく所得(収入-経費)という点も間違えないよう気を付けましょう。
(1)には前々年の不動産所得を(2)には前々年の事業所得を記入します。
それぞれ青色専従者給与の支給があった場合は、その金額を所得に足します。
(3)の金額が300万円以上の場合はこの特例を受けることはできません。
3.その他の参考事項
現金式簡易帳簿に丸をつけます。
この欄にそこまで深い意味は無いのでさっと丸をして次にいきます。
2.前年12月31日現在の売掛金、買掛金等の資産負債の額
説明の順番が前後しましたがコチラは裏面に記入することとなります。
30年にこの特例を受けようとしている場合は前年分である29年申告時の資産負債の金額を記入します。(29年12月31日時点の金額)
前年に確定申告書と一緒に提出をした貸借対照表に売掛金や買掛金の金額が載っているのはずですのでそこから転記してしまいましょう。
会計ソフトを使用していればソフト内の資産負債の期首残高を確認してここに記入しても良いでしょう。