「確定申告の納税を口座引き落としにしたい」「納税期限を忘れないか心配」そんな方に便利な振替納税について、詳しく解説します。
振替納税とは?メリットと注意点
振替納税とは、税金の納付を金融機関の口座から自動的に引き落としてもらう仕組みです。確定申告書を提出するだけで、あとは指定した日に自動的に引き落としが行われるため、納付手続きの手間が省けます。
主なメリット
- 納め忘れの心配がない:自動引き落としなので、納付期限を忘れる心配がありません
- 納付のための手間が省ける:金融機関や税務署に出向く必要がありません
- 納期限が約1か月延長される:通常の納付期限より約1か月長く設定されています
注意すべきポイント
- 残高不足に注意:引き落とし日に口座残高が不足していると引き落としができません
- 依頼書の提出期限:確定申告期限までに提出する必要があります
- 適用税目が限られる:所得税、消費税、個人事業者の消費税のみが対象です
振替納税の手続き方法
振替納税を利用するには「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」(以下、振替依頼書)を提出します。手続き方法は主に3つあります。
1. 税務署で手続きする場合
- 税務署で振替依頼書を入手する
- 必要事項を記入する
- 通帳届出印を押印する
- 税務署に提出する
2. 金融機関で手続きする場合
- 税務署で振替依頼書を入手する
- 必要事項を記入する
- 通帳届出印を押印する
- 口座のある金融機関に提出する
3. e-Taxで手続きする場合
- e-Taxソフト等で振替依頼書データを作成する
- 電子署名を行う
- e-Taxで送信する
- この場合、印鑑は不要です
振替依頼書の入手方法
振替依頼書は以下の方法で入手できます:
- 税務署の窓口で受け取る
- 国税庁ホームページからダウンロードして印刷する
- 確定申告書などに同封されている場合がある
振替依頼書の記入方法
振替依頼書の記入例に沿って、必要事項を説明します。
基本情報の記入
- 税務署名:納税地を管轄する税務署名を記入
- 提出年月日:振替依頼書を提出する日付を記入
- 振替納税を希望する税目:所得税にチェック
- 納税者の住所・氏名等:
- 郵便番号・住所
- 氏名(フリガナも)
- 電話番号
- 個人番号または法人番号
振替口座情報の記入
- 金融機関名・支店名:通帳に記載されている正式名称を記入
- 口座番号:通帳に記載の口座番号を正確に記入
- 口座名義人:通帳の表紙に記載されている名義人を記入
金融機関届出印の押印
通帳作成時に届け出た印鑑(通帳届出印)を押印します。この印鑑は銀行印と呼ばれることもあります。
よくある質問
Q1: 振替納税の対象となる税金はどれですか?
A: 個人の確定申告による所得税、個人事業者の消費税、地方消費税が対象です。法人税や相続税などは対象外です。
Q2: 振替日はいつですか?
A: 所得税の場合、通常は4月中旬から下旬に設定されています(例:2025年分の所得税の振替日は2026年4月22日の予定)。具体的な日付は年度ごとに国税庁から発表されます。
Q3: 一度手続きすれば翌年以降も自動的に引き落としされますか?
A: はい。一度手続きすれば、取りやめの手続きをしない限り継続して適用されます。
Q4: 口座残高が不足していた場合はどうなりますか?
A: 振替日に残高不足で引き落としができなかった場合、振替納税は行われません。その場合は、税務署から送付される納付書で納付する必要があります。
Q5: 振替口座を変更したい場合はどうすればよいですか?
A: 新しい振替依頼書に「変更」にチェックを入れて、新しい口座情報を記入して提出します。
振替納税のスケジュール例
所得税確定申告の場合(個人事業主の例):
- 1月〜3月15日:確定申告期間
- 3月15日まで:振替依頼書の提出期限
- 3月15日:通常の納付期限
- 4月中旬〜下旬:振替納税の引き落とし日(約1か月延長)
まとめ
振替納税は、納税の手間を減らし、納め忘れのリスクを避けるための便利な制度です。一度手続きをすれば翌年以降も自動的に適用されるため、確定申告をする方には特におすすめです。
振替依頼書の記入は難しくありませんが、金融機関名や口座番号、口座名義人などは通帳を見ながら正確に記入し、必ず通帳届出印を押印することを忘れないようにしましょう。
e-Taxで確定申告をしている方は、電子的に振替納税の手続きができるので、さらに便利です。納税の手間を省き、期限延長のメリットを活かすためにも、ぜひ振替納税の利用を検討してみてください。