社会保険料への加入が厳しく調査されるようになっていますが、個人事業主は社会保険へ加入しなければいけないのか、加入した場合の事業主の負担はいくらほど発生するのか確認していきましょう。
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個人事業主も社会保険に加入する?
社会保険の加入が義務付けられているのは次の条件を満たす事業所です。
法人企業の場合
全ての事業所(社長1人の会社であっても加入義務があります。)
個人事業の場合
常時5人以上を雇用している事業所は加入義務が発生します。
個人の場合、事業主1人である場合加入することは出来ませんが、5人未満の従業員を雇い入れている事業所は従業員の2分の1の同意を得ると加入することが出来ます。
このように法人に比べて個人で事業を行っている場合には、社会保険の加入条件が緩くなっています。
このため社長一や家族で経営しているような会社は社会保険の負担を考えると個人成した方が良いケースもあります。
5人以上雇用でも適用除外となるケース
個人事業主の場合、常時5人以上を雇用している事業所であっても農林業、水産業、畜産業、一部サービス業、法務などの決められた業種に関しては社会保険の適用から除外されます。(強制適用除外)
社会保険の強制適用除外となる事業
農業、牧畜業、水産養殖業、漁業、サービス業(ホテル、旅館、理容、娯楽、スポーツ、保養施設などのレジャー産業)法務(弁護士、会計士、税理士、社会保険労務士等)、宗教(神社、寺院、協会等)
社会保険の計算方法と事業主負担
社会保険の計算方法
社会保険の計算方法を大まかに説明すると基本的には1年に1回算定基礎と呼ばれる社会保険料を計算するための基準を決める手続きを行いその基準に社会保険料率を乗ずることで計算されます。
もう少し詳しく説明すると…
毎年算定基礎と呼ばれる手続きで4月5月6月の給料の金額の平均値を算定する(平均値を報酬月額と呼ぶ)この平均値を社会保険料の表に当てはめて社会保険を計算するための基礎である標準報酬月額を決定します。
この標準報酬月額に社会保険の料率を乗ずることで社会保険料が計算されます。
具体的な社会保険の計算手順
具体例
4月給料=350,000円
5月給料=300,000円
6月給料=340,000円 の場合
(350,000+300,000+340,000)×1/3=330,000円(報酬月額)
報酬月額を上記の表に当てはめると標準報酬月額は320,000円となる。
標準報酬月額に料率を乗ずると健康保険は31,680円、介護保険は5,536円、厚生年金は58,560円の合計95,776円と社会保険の計算がされます。
社会保険は、事業主と従業員とで負担を折半することとなっていますので95,776円の半分である47,888円が毎月の負担となります。
事業主にかかる社会保険料負担
社会保険の料率は2019年4月現在で
健康保険が9.90%、介護保険が1.73%、厚生年金が18.3%の合計29.93%と約30%程で事業主の負担はその半分の15%となります。
例えば、標準報酬月額が20万円の人を雇入れれば毎月3万の社会保険の負担が発生することとなります。
標準報酬月額がいくらかというと少しややこしくなるので簡単に言ってしまえば毎月支払う給料の15%程度の金額は社会保険の負担が発生すると考えておくと良いでしょう。
個人事業と法人企業の社会保険負担額の違い
次に家族3人で事業をしている場合のケースを個人事業と法人での社会保険の負担額の違いを見てみましょう。
事業主Aと従業員B,Cで事業を行っている場合。
Aさんの給料は毎月70万円
Bさんの給料は毎月30万円
Cさんの給料は毎月50万円とします。
法人の社会保険 | 個人の社会保険 | |
Aさん | 98,016円 | 非加入 |
Bさん | 44,895円 | 非加入 |
Cさん | 74,825円 | 非加入 |
毎月の負担 | 217,736円 | 0円 |
法人として事業を行うことで毎月217,736円の社会保険負担が発生することとなります。
年間にしてみれば2,612,832円ととても大きな負担が社会保険に加入することでかかってくることが分かるかと思います。
こういった小規模な事業所の場合、社会保険の負担を考えて個人成するというケースも多くみられます。
社会保険に加入し保障をしっかりすることで優秀な人材を獲得しやすくなるといったメリットもある一方、その事業所負担という大きな負担もある社会保険ですが、自身の事業規模や環境などから加入するしない、法人にするしないを判断するようにしましょう。