「所得税って何?」「どれくらい払うの?」「確定申告とどう関係してるの?」
フリーランスや副業を始めると、必ず向き合うことになる"税金"の問題。この記事では、はじめての方にもわかりやすく「所得税の仕組み」や「計算方法」「節税のポイント」までを整理します。
所得税とは?ざっくり定義と仕組み
所得税とは、個人の所得に対してかかる国の税金です。個人が1年間(1月1日〜12月31日)に得た所得金額をもとに計算され、原則として確定申告を通じて申告・納税します。
所得税の主な特徴
- 累進課税制度
- 所得が高くなるほど税率も高くなる仕組み
- 所得195万円以下なら5%、4,000万円超なら45%など段階的に上昇
- 申告納税制度
- 自分で所得と税額を計算して申告する(確定申告)
- 会社員は主に会社が代行(年末調整)
- 控除の種類が豊富
- 基礎控除、社会保険料控除、医療費控除など様々な控除あり
- 控除を活用することで税負担を軽減できる
- 復興特別所得税の上乗せ
- 所得税額の2.1%が別途加算(2037年まで継続)
課税される「所得」の種類とは?
所得税は、以下の10種類の所得に分類され、それぞれに応じた計算・申告が必要です。
主な所得の種類と特徴
所得の種類 | 具体例 | 特徴と計算方法 |
---|---|---|
事業所得 | フリーランスの収入、店舗経営 | 収入 − 必要経費<br>青色申告を活用可能 |
給与所得 | 会社からの給料・ボーナス | 給与収入 − 給与所得控除<br>年末調整済みなら申告不要のケースも |
雑所得 | 副業収入、アフィリエイト報酬<br>暗号資産取引益 | 収入 − 必要経費<br>赤字を他の所得と通算できない |
不動産所得 | 賃貸物件の家賃収入 | 家賃収入 − 必要経費(管理費など)<br>減価償却費の計上が重要 |
譲渡所得 | 株式・不動産の売却益 | 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用<br>株式は申告分離課税が多い |
一時所得 | 懸賞金、生命保険の満期金 | (収入 − 支出 − 特別控除50万円) × 1/2<br>臨時的な所得 |
利子所得 | 預金利息、公社債利息 | 源泉分離課税が多く確定申告不要のケースが多い |
配当所得 | 株式の配当金 | 総合課税と申告分離課税を選択可 |
退職所得 | 退職金、退職手当 | 退職所得控除後に1/2を乗じ軽減<br>源泉徴収で完結するケースが多い |
山林所得 | 山林の売却益 | 5年超所有の場合は特別控除あり |
所得区分の判断ポイント
副業や臨時収入がどの所得区分に該当するかは、以下のポイントを考慮して判断します:
- 継続性・反復性:繰り返し行う活動か一時的なものか
- 営利性:利益を得る目的があるか
- 自己の責任:自分で判断・責任を持って行っているか
- 事業規模:収入の金額や活動頻度
例えば、副業のプログラミング仕事が継続的で自己の責任で行っている場合は「事業所得」になりやすく、単発のアンケートモニター報酬は「雑所得」に該当するケースが多いです。
所得税の計算方法と税率(2025年)
所得税の計算はステップ式に行います。一つひとつ確認していきましょう。
所得税の計算ステップ
- 収入から所得金額を計算
- 総収入 − 必要経費 = 所得金額
- 所得の種類ごとに計算方法が異なる
- 各種所得を合算し、所得控除を差し引く
- 所得金額の合計 − 各種控除 = 課税所得
- 控除には基礎控除(48万円)や社会保険料控除などがある
- 税率を適用し、税額控除を差し引く
- 課税所得 × 税率 − 控除額 = 所得税額
- さらに住宅ローン控除などの税額控除を差し引く
- 復興特別所得税を加算
- 所得税額 × 2.1% = 復興特別所得税
- 所得税額 + 復興特別所得税 = 納税額
所得税率表(2025年版)
2025年の所得税率は以下の通りです(復興特別所得税を除く):
課税所得 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
〜195万円 | 5% | 0円 |
195万円〜330万円 | 10% | 97,500円 |
330万円〜695万円 | 20% | 427,500円 |
695万円〜900万円 | 23% | 636,000円 |
900万円〜1,800万円 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円〜4,000万円 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
税率適用の計算例
例えば、課税所得が400万円の場合:
- 400万円は「330万円〜695万円」の区分
- 400万円 × 20% − 427,500円 = 372,500円(所得税額)
- 372,500円 + (372,500円 × 2.1%) = 380,322円(所得税 + 復興特別所得税)
ポイント:「控除額」があるため、課税所得全体に高い税率がかかるわけではありません。
所得控除の種類と活用法
所得税の計算において、課税所得を減らす「所得控除」を活用することが節税の基本となります。
主な所得控除
- 基礎控除:48万円(全員が適用可能)
- 社会保険料控除:健康保険・年金・雇用保険などの支払額全額
- 小規模企業共済等掛金控除:小規模企業共済・iDeCoなどの掛金全額
- 生命保険料控除:生命保険・介護医療保険・個人年金保険の保険料(上限あり)
- 地震保険料控除:地震保険の保険料(上限あり)
- 医療費控除:年間10万円超の医療費(または所得の5%超)
- 配偶者控除・配偶者特別控除:配偶者の所得によって控除額が変動
- 扶養控除:扶養親族の年齢や状況に応じて33〜63万円
- 寄附金控除:特定の寄附に対する控除
青色申告と白色申告の違い
個人事業主・フリーランスの方は、青色申告と白色申告のどちらかを選択できます。
青色申告のメリット
- 最大65万円の特別控除(電子申告+複式簿記の場合)
- 赤字の翌年以降への繰越(最大3年間)
- 30万円未満の減価償却資産の一括経費計上
- 家族への給与を経費計上可能
青色申告をするには「青色申告承認申請書」の提出が必要です(開業から2ヶ月以内、または確定申告をする年の3月15日までに提出)。
所得税を抑える節税テクニック
適法な範囲内で所得税を抑える方法をいくつか紹介します。
事業主向けの節税ポイント
- 青色申告を活用する
- 最大65万円の青色申告特別控除を受ける
- 複式簿記での記帳と電子申告が条件
- 経費を適切に計上する
- 事業に関係する支出を漏れなく記録
- 家事按分(自宅兼事務所の家賃・光熱費など)も忘れずに
- 小規模企業共済・iDeCoを活用する
- 掛金全額が所得控除の対象に
- 将来の資産形成にもつながる
給与所得者向けの節税ポイント
- 医療費控除を活用する
- 年間10万円以上の医療費(または所得の5%超)
- 家族全員分の医療費を合算可能
- ふるさと納税の活用
- 実質2,000円の自己負担で寄附可能
- 確定申告またはワンストップ特例制度で控除
- 住宅ローン控除の適用
- 一定の条件を満たすと最大13年間控除可能
- 年末残高の0.7%が所得税から控除
よくある質問(Q&A)
Q1. 副業の収入はどの所得になりますか?
副業の内容によって「事業所得」か「雑所得」になるケースが多いです。継続性・専業性・独立性が高い場合は事業所得、単発や小規模な場合は雑所得として申告するケースが多いです。事業所得の場合は青色申告が可能で節税メリットがあります。
Q2. 青色申告にすると所得税が安くなるのはなぜですか?
青色申告では最大65万円の特別控除が受けられるほか、赤字の3年間繰越や家族への給与の経費計上など多くの特典があります。例えば課税所得が400万円の方なら、65万円の控除で約13万円の節税効果があります。
Q3. 所得税が還付(戻る)されるケースとは?
源泉徴収された税金が実際の税額より多い場合に還付されます。例えば、年の途中で退職した場合や、医療費控除・住宅ローン控除などを適用した場合、また副業で赤字が出て総所得が減った場合などに還付金が発生します。
Q4. 所得税の計算方法がわからない場合はどうすればいいですか?
国税庁の確定申告書作成コーナーや会計ソフト(マネーフォワードなど)を利用すれば、入力に従って自動で計算してくれます。複雑な所得がある場合は税理士に相談するのもおすすめです。
Q5. 所得税と住民税の関係を教えてください
所得税は国税、住民税は地方税です。住民税は所得税の確定申告内容をもとに翌年度に課税されます。税率は一律約10%(市区町村民税6%、都道府県民税4%)で、所得税のような累進課税ではありません。
まとめ|まずは"しくみ"をつかむことが第一歩
所得税は「所得 × 税率 − 控除」という基本構造で計算されますが、所得の種類や控除の活用方法によって納税額は大きく変わります。
フリーランスや副業をされている方は:
- 所得の区分(事業所得か雑所得か)を正しく把握する
- 青色申告のメリットを活かす(最大65万円の控除)
- 必要経費を適切に計上する
- 各種控除制度を積極的に活用する
これらのポイントを押さえることで、適正な納税と節税の両立が可能になります。初心者の方こそ、会計ソフトなどを活用して正確な記録と計算を心がけましょう!