はじめに:扶養控除等申告書は税金を正しく納めるための重要書類
年末調整の時期や入社時に配られる「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」。記入方法がわからず手が止まってしまった経験はありませんか?
この書類は、あなたの税金が適切に計算されるための重要な申告書です。書き方を間違えると、本来受けられる控除が受けられなかったり、逆に払いすぎた税金が発生したりする可能性もあります。
この記事では、2025年版の最新様式に基づき、扶養控除等申告書の書き方の流れや具体的な記載例、よくある間違いまで、わかりやすく解説します。これを読めば、書類の提出に自信を持って対応できるようになるでしょう。
扶養控除等申告書とは?基本から理解しよう
扶養控除等申告書の目的と重要性
扶養控除等申告書は、正式には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」といい、以下のような目的と重要性があります:
- 所得税の源泉徴収額を正確に計算するための基礎情報を会社に提供する書類
- 給与から差し引かれる所得税額を正確に計算するために必須の書類
- あなたやあなたの家族の状況に応じた控除(税金の軽減)を受けるために必要
この書類を提出しないと、税金が多く引かれる「乙欄課税」が適用され、必要以上に税金を納めることになります。
提出対象者と提出時期
扶養控除等申告書の提出が必要な人と、提出するタイミングは以下の通りです:
提出が必要な人:
- 会社から給与を受け取っているすべての人(正社員、契約社員、パート・アルバイト等)
- 複数の会社から給与を受け取っている場合は、主たる給与(本業)の支払者にのみ提出
提出時期:
- 新入社員の場合:入社時(会社の指示に従ってください)
- 既存社員の場合:毎年10月~12月頃(年末調整の時期に合わせて)
- 扶養家族などに変更があった場合:変更があった日から1ヶ月以内に異動申告書を提出
2025年版 扶養控除等申告書の構成と記入項目
扶養控除等申告書は、大きく分けて以下の5つの項目で構成されています。それぞれの項目について、記入ポイントを解説します。
1. 基本情報(提出者の情報)
記入する内容:
- あなたの氏名、住所、生年月日
- 個人番号(マイナンバー)
- 勤務先の名称
記入のポイント:
- 住所は住民票の住所を記入(実際の居住地と異なる場合でも)
- 氏名にはフリガナも忘れずに
- マイナンバーは正確に記入(初回提出時にはマイナンバーカードのコピーなども必要な場合あり)
2. 配偶者に関する事項
記入する内容:
- 配偶者の氏名、生年月日、マイナンバー
- 配偶者の合計所得金額の見積額
- 同居・別居の別
記入のポイント:
- 配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合は「控除対象配偶者」に該当(給与収入なら103万円以下)
- 合計所得金額が48万円超133万円未満の場合は「源泉控除対象配偶者」に該当する可能性あり
- 配偶者がいない場合や、所得要件を満たさない場合は記入不要
3. 扶養親族に関する事項
記入する内容:
- 扶養親族の氏名、続柄、生年月日、マイナンバー
- 同居・別居の別
- 所得の見積額
記入のポイント:
- 扶養親族の合計所得金額が48万円以下の場合に扶養控除の対象になる(給与収入なら103万円以下)
- 16歳未満の子どもは「扶養親族」には該当するが「扶養控除」の対象外(住民税の計算には影響)
- 19歳未満または23歳未満の学生は「特定扶養親族」として控除額が異なる
4. 障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生に関する事項
記入する内容:
- 該当する区分にチェック
- 対象者の氏名
記入のポイント:
- 障害者手帳をお持ちの方や要介護認定を受けている方は障害者控除の対象になる可能性あり
- ひとり親控除は、婚姻歴の有無を問わず適用される可能性あり(所得要件あり)
- 勤労学生控除は、所得要件と学生の条件を満たす必要あり
記入箇所:3つの代表的なパターン
実際の記載例を見ながら、代表的な3つのパターンでの記入箇所を解説します。
パターン①:独身・扶養なしの場合
記入のポイント:
- 基本情報はすべて記入
- 配偶者欄は空欄
- 扶養親族欄も空欄
- 該当する特別な事情(障害者、勤労学生など)がある場合のみチェック
パターン②:配偶者あり・子ども1人の場合
記入のポイント:
- 配偶者の情報を記入(氏名、生年月日、マイナンバー、所得見積額)
- 配偶者の合計所得が48万円以下の場合は「控除対象配偶者」にチェック
- 子どもの情報を扶養親族欄に記入(氏名、続柄、生年月日、マイナンバー)
- 子どもの年齢に応じて「特定」にチェック(16歳以上19歳未満、もしくは特定の要件を満たす19歳以上23歳未満の学生)
- 16歳未満の子どもは「扶養親族」として記入するものの、「控除対象」とはならない点に注意
パターン③:親を扶養にしている場合
記入のポイント:
- 親の情報を扶養親族欄に記入
- 続柄は「父」や「母」と記入
- 所得要件(合計所得48万円以下)に注意
- 同居・別居の別を正確に記入
- 70歳以上の親は「老人扶養親族」に該当(同居の場合と別居の場合で控除額が異なる)
よくある間違いと注意点
扶養控除等申告書を記入する際によくある間違いや、特に注意すべきポイントをまとめました。
「控除対象配偶者」と「源泉控除対象配偶者」の違い
- 控除対象配偶者:配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合
- 源泉控除対象配偶者:配偶者の合計所得金額が48万円超133万円未満の場合
- 配偶者が「源泉控除対象配偶者」の場合、年末調整では控除されないが確定申告で配偶者特別控除を受けられる可能性あり
所得要件の確認ミス
- 扶養親族や配偶者の合計所得金額が48万円を超えると、原則として控除対象外に
- 給与収入の場合は、約103万円が目安(給与所得控除後の金額が48万円以下)
- 年金収入の場合は、65歳未満で約108万円、65歳以上で約158万円が目安
- 複数の収入がある場合は、すべての所得を合算して判断
異動届の提出忘れ
- 年の途中で扶養親族の状況が変わった場合(結婚、出産、親の扶養追加など)
- 「扶養控除等異動申告書」を1ヶ月以内に提出する必要あり
- 提出が遅れると、控除が適用されない期間が生じる可能性も
マイナンバーの記載ミス
- 扶養親族や配偶者のマイナンバーは正確に記入する
- 初回提出時には、マイナンバーカードのコピーなどの提示が必要なケースも
- 会社によっては、マイナンバーの収集方法が異なる場合あり(別途専用の書類がある場合も)
よくある質問(Q&A)
扶養控除等申告書に関するよくある質問と回答をまとめました。
Q1. 扶養控除申告書は出さなくても問題ない?
A1. 大きな問題があります。提出しないと、税率が高い「乙欄」で源泉徴収されてしまうため、毎月の手取り額が大幅に減少します。また、本来受けられるはずの控除も受けられなくなります。必ず提出しましょう。
Q2. パート・アルバイトでも提出は必要?
A2. 年末調整を行う場合はアルバイトやパートなどの区分に関係なく必ず必要です。
Q3. 複数の会社で働いている場合はどうする?
A3. 「主たる給与」を支払う会社(通常は収入の多い方)にのみ提出します。「従たる給与」を支払う会社には提出せず、「給与所得者の扶養控除等申告書に記載した配偶者等を有しないものとして」源泉徴収してもらいます。
Q4. 書き方がわからない場合はどうすればいい?
A4. 以下の方法で確認するのがおすすめです:
- 会社の人事・総務担当者に相談する
- 国税庁のWebサイトで公開されている記載例を参考にする
- 税務署の職員に相談する(電話や窓口で対応可能)
Q5. 年末調整で還付金が発生するのはなぜ?
A5. 毎月の給与計算では、年間の所得や各種控除を正確に把握できないため、概算で源泉徴収が行われています。年末調整で正確な所得と控除額を計算した結果、払いすぎた税金があれば還付されます。扶養控除等申告書の記入内容が還付金額に大きく影響するため、正確な記入が重要です。
まとめ|扶養控除等申告書を正しく書いて適切な税金を納めよう
扶養控除等申告書は、一見すると難しく面倒な書類に感じるかもしれませんが、あなたの税金を正しく計算するための非常に重要な書類です。
押さえておくべきポイント:
- 毎年提出する必要がある書類であり、内容によって納税額に大きな差が出る可能性がある
- 家族構成や収入に変化があれば、速やかに申告内容を見直すことが重要
- 所得要件(48万円以下)や年齢要件を正確に確認する
- 不明点があれば、会社の担当者や税務署に相談する
書類の記入ミスによる「払いすぎ」や「還付漏れ」を防ぐためにも、この記事で解説した基礎知識を押さえて、正確に申告書を提出しましょう。適切な控除を受けることで、あなたの手取り額が増える可能性もあります。