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【2025年最新】課税事業者届出書とは?書き方と提出タイミングを完全解説

【2025年最新】課税事業者届出書とは?書き方と提出タイミングを完全解説
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ひとり起業ラボ編集部

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「売上が増えてきたけど、消費税について何か手続きが必要?」「課税事業者届出書って何?いつ提出すればいいの?」

事業が成長して売上が1,000万円を超えてくると、消費税の納税義務が生じます。その際に提出が必要となるのが「課税事業者届出書」です。この記事では、課税事業者届出書の概要、提出タイミング、記入方法までを徹底解説します。

課税事業者届出書とは

課税事業者届出書とは、正式名称を「消費税課税事業者届出書」といい、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合に提出する届出書です。

この届出書を提出することで、税務署に「消費税の納税義務者になりました」と申告する役割を果たします。基本的には、売上が1,000万円を超えた段階で自動的に課税事業者となるため、届出書は「通知」の意味合いが強いといえます。

届出書の役割

  • 課税事業者になったことを税務署に正式に伝える
  • 消費税の納税義務が発生したことを明確にする
  • 課税事業者となる期間を明示する

課税事業者になるタイミングと届出の必要性

基準期間とは

課税事業者になるかどうかを判断する「基準期間」とは、原則として以下の期間を指します:

  • 個人事業主: 前々年(2年前の1月1日から12月31日まで)
  • 法人: 前々事業年度(2事業年度前)

例えば、個人事業主の場合:

  • 2023年(令和5年)の売上が1,000万円を超えた → 2025年(令和7年)から課税事業者になる
  • 2024年(令和6年)の売上が1,000万円を超えた → 2026年(令和8年)から課税事業者になる

この「2年後から」というルールは、事業者が消費税の納税に向けて準備する時間を確保するためのものです。

届出が必要な理由

法律上は、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えると自動的に課税事業者になります。しかし、以下の理由から届出書の提出が必要とされています:

  1. 税務署が納税義務者を把握するため
  2. 消費税の納税準備を促すため
  3. 適切な申告・納税を促すため

届出書を提出しなくても、条件に該当すれば課税事業者となり、消費税の納税義務は発生します。ただし、提出しないことで税務署からの連絡や指導が入ることがあります。

届出書の提出時期

課税事業者届出書の提出時期についてご説明します。

基本的な提出タイミング

原則として、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えたことが確定した時点で提出します。

具体的には:

  • 確定申告を行い、売上が1,000万円を超えたことが確定した後
  • 年度途中でも売上が1,000万円を超えることが明らかになった時点

提出期限

特に明確な提出期限は定められていませんが、課税事業者になることが判明した段階で速やかに提出することが望ましいです。遅くとも、課税事業者として申告・納税が必要になる年の開始前までには提出しておきましょう。

例えば、2025年から課税事業者になる場合は、2024年中に提出することが望ましいです。

📌 インボイス制度との関係に注意
令和5年10月からスタートした「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」では、課税事業者でなければインボイス(適格請求書)を発行できません。取引先がインボイスを求めるケースがあるため、課税事業者となるタイミングでインボイス発行事業者の登録申請も検討しましょう。

届出書の入手方法

課税事業者届出書は、以下の方法で入手できます:

1. 税務署で直接入手

最寄りの税務署の窓口で「消費税課税事業者届出書」を受け取ることができます。窓口で相談しながら記入することもできるので、不明点がある方はこの方法がおすすめです。

2. 国税庁のホームページからダウンロード

国税庁のホームページからPDFファイルをダウンロードして印刷できます。以下の手順で探すことができます:

  1. 国税庁ホームページにアクセス
  2. 「税務手続・用紙(手続・用紙の案内)」をクリック
  3. 「申告・申請・届出等、用紙(手続の案内)」をクリック
  4. 「消費税関係」から「消費税課税事業者届出書」を選択

3. 会計ソフトを利用する

会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生会計など)を利用すれば、必要事項を入力するだけで届出書を作成できます。作成した届出書を印刷して郵送するか、電子申告(e-Tax)で提出することができます。

会計ソフトを利用するメリット:

  • 入力ミスが少なくなる
  • 電子申告ができる
  • 他の税務書類と一元管理できる

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課税事業者届出書の書き方

ここでは、課税事業者届出書の各項目の記入方法を詳しく解説します。
届出書PDF👉

課税事業者届出書の記入例 消費税課税事業者届出書 税務署長 渋谷 ①管轄の税務署 住所または本店の所在地 東京都渋谷区○○町1-2-3 ②納税地 氏名または名称 起業 太郎(ひとり起業商店) ③氏名と屋号 個人番号 1234567890123 ④個人番号(マイナンバー) 適用開始課税期間 2025年1月1日〜2025年12月31日 ⑤課税事業者となる期間 上記期間の基準期間 2023年1月1日〜2023年12月31日 ⑥前々年の期間 左記の総売上高 12,520,000 ⑦前々年の売上高 ※初めて課税事業者になる場合は税込の売上を記入します © ひとり起業ラボ

1. 納税地・氏名・個人番号等

個人事業主の場合

  • 納税地:事業所の住所または自宅住所
  • 氏名:フルネームを記入
  • 個人番号:マイナンバー(個人番号)を記入

法人の場合

  • 納税地:本店または主たる事務所の所在地
  • 名称:法人名を記入
  • 代表者名:代表者のフルネームを記入
  • 法人番号:法人番号(13桁)を記入

2. 適用開始課税期間

消費税の課税事業者となる期間の初日と末日を記入します。

個人事業主の場合

  • 初日:課税事業者となる年の1月1日
  • 末日:課税事業者となる年の12月31日

例:2023年の売上が1,000万円を超えた場合、「2025年1月1日〜2025年12月31日」と記入

法人の場合

  • 初日:課税事業者となる事業年度の開始日
  • 末日:課税事業者となる事業年度の終了日

例:3月決算法人で2023年4月1日〜2024年3月31日の売上が1,000万円を超えた場合、「2025年4月1日〜2026年3月31日」と記入

3. 上記期間の基準期間

課税売上高が1,000万円を超えた年度(基準期間)の初日と末日を記入します。

個人事業主の場合

  • 初日:売上が1,000万円を超えた年の1月1日
  • 末日:売上が1,000万円を超えた年の12月31日

例:2023年の売上が1,000万円を超えた場合、「2023年1月1日〜2023年12月31日」と記入

法人の場合

  • 初日:売上が1,000万円を超えた事業年度の開始日
  • 末日:売上が1,000万円を超えた事業年度の終了日

4. 左記の総売上高

「上記期間の基準期間」の全ての売上高を記入します。

重要なポイント:

  • 初めて課税事業者になる場合(基準期間は免税事業者だった場合) → 税込の売上高を記入
  • すでに課税事業者だった場合(基準期間も課税事業者だった場合) → 税抜の売上高を記入

5. 左記の課税売上高

「上記期間の基準期間」の全ての売上高のうち、課税売上のみを記入します。

課税売上には含まれないもの:

  • 国外取引
  • 非課税取引(保険料、医療費、福祉サービス等)
  • 不課税取引(損害賠償金、補助金等)

多くの事業者は総売上高と課税売上高が同じになることが多いですが、非課税取引がある場合は異なる金額になります。

6. 生年月日・事業内容

個人事業主の場合

  • 生年月日:事業主の生年月日を記入
  • 事業内容:事業の具体的な内容を記入(例:「飲食店経営」「システム開発」など)

法人の場合

  • 設立年月日:法人の設立年月日を記入
  • 事業内容:法人の事業内容を記入

7. 事業年度・資本金

法人のみ記入する欄です。個人事業主は記入不要です。

  • 事業年度:法人の事業年度(例:4月1日〜3月31日)
  • 資本金:法人の資本金額

8. 届出区分

基本的には何も記入する必要はありません。以下の特殊なケースのみ該当する項目に○をします:

  • 合併による課税事業者
  • 分割による課税事業者
  • 相続による課税事業者

通常の売上増加による課税事業者化の場合は、この欄は空欄で構いません。

提出後の流れと影響

課税事業者届出書を提出した後の流れと、課税事業者になることによる影響について説明します。

提出後の流れ

  1. 届出書の受理:税務署が届出書を受理します。特に受理通知はありません。
  2. 課税事業者としての登録:税務署のシステムに課税事業者として登録されます。
  3. 消費税の申告・納税:課税期間終了後、消費税の確定申告と納税が必要になります。

課税事業者になることによる影響

メリット

  1. 仕入税額控除が可能になる:課税仕入れに係る消費税額を控除できます。
  2. 経理処理の正確性向上:税込・税抜を明確に区分することで、経理の正確性が向上します。
  3. 取引先からの信頼向上:課税事業者として適正に消費税を納税していることで、取引先からの信頼が得られます。

事務負担の増加

  1. 消費税の区分経理が必要:取引を税込・税抜で区分する必要があります。
  2. 消費税の申告・納税事務:確定申告に加えて、消費税の申告・納税事務が発生します。
  3. 帳簿・請求書等の保存義務:課税仕入れに関する帳簿や請求書等の保存が必要になります。

課税事業者になった後の検討事項

  1. 消費税の税込・税抜表示の選択:消費費者向けの価格表示は、税込表示が原則です。
  2. 簡易課税制度の検討:事務負担を軽減する「簡易課税制度」の選択を検討します。
  3. 経理システムの見直し:消費税対応の経理システムへの移行を検討します。

よくある質問

Q1: 届出を提出しなかった場合はどうなりますか?

A: 届出書を提出しなくても、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていれば、自動的に課税事業者となります。ただし、税務署が把握できていない場合、後日指摘を受けて修正申告が必要になることがあります。また、無申告加算税や延滞税が課される可能性もあります。適切な時期に届出書を提出することをお勧めします。

Q2: 課税事業者になった後、売上が1,000万円を下回った場合はどうなりますか?

A: 基準期間(前々年または前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下になった場合は、自動的に免税事業者に戻ります。ただし、特定期間(前年の上半期)の課税売上高が1,000万円を超える場合や、課税事業者選択届出書を提出している場合は、引き続き課税事業者となります。

Q3: 新規開業・会社設立したばかりですが、いつから課税事業者になりますか?

A: 新規開業や会社設立の場合、原則として開業または設立から2年間は免税事業者となります。ただし、資本金が1,000万円以上の法人は、設立1期目から課税事業者となります。また、「課税事業者選択届出書」を提出することで、任意に課税事業者になることも可能です。

Q4: 基準期間がない場合(開業2年目など)はどうなりますか?

A: 基準期間がない場合(開業2年目など)は、「特定期間」(個人事業主の場合は前年1月1日〜6月30日、法人の場合は前事業年度開始日から6ヶ月間)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで判断します。特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合は、課税事業者届出書を提出する必要があります。

Q5: 課税事業者になると価格設定はどうすべきですか?

A: 課税事業者になると、売上に対して消費税が課税されます。そのため、価格設定を見直す必要があるかもしれません。一般消費者向けの取引では、税込価格表示が原則です。取引先が課税事業者の場合は、税抜価格に消費税を加えた金額を請求することが一般的です。適切な価格設定については、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

まとめ

課税事業者届出書は、基準期間の課税売上高が1,000万円を超え、消費税の納税義務が発生した際に提出する重要な書類です。

重要ポイントのおさらい

  • 課税事業者の判定:基準期間(前々年または前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になる
  • 提出タイミング:課税売上高が1,000万円を超えたことが確定した時点
  • 記入のポイント:適用開始課税期間と基準期間を正確に記入する
  • 税込・税抜の区別:初めて課税事業者になる場合は税込、既に課税事業者の場合は税抜で売上高を記入

課税事業者になることで、消費税の納税義務が発生する一方、仕入税額控除が可能になります。事務負担は増加しますが、適切な経理処理を行うことで、事業の健全な成長につながります。

不明点がある場合は、税務署や税理士などの専門家に相談し、適切に対応しましょう。


この記事は2025年4月現在の税制に基づいて作成されています。税制は改正されることがありますので、最新情報は国税庁のWebサイトなどでご確認ください。

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