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【税理士が解説】個人名義の車を会社で経費に計上は可能?

税理士 山口 佳彦

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税理士 山口 佳彦
日本橋茅場町で開業する男性税理士です。
中小企業の皆さまをお支えするため、日々奮闘しています。

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会社で車を買いたいけれど、金銭的なことその他諸々の理由で、個人名義の車を業務用として使用せざるをえないケースが往々にしてあるかと思います。

車にかかる費用は、主に次のようなものがあります。

① 購入費用(減価償却費)
② ローン利用時の金利
③ 自動車税などの税金
④ 保険料
⑤ 車検費用を含む点検費用
⑥ 消耗品代
⑦ 駐車場代
⑧ ガソリン代
⑨ 高速料金

法人名義であれば、これらの経費はすべて計上しても問題はありませんが、個人名義だとどうなるのでしょうか?

注意ポイント

法人名義でも私的利用により発生した経費は当然のことながら計上NGです。
計上すると、個人への給与と認定→源泉徴収もれ+不納付加算税のリスクがあります。

「会社の業務でしか使っていなければ、法人名義の車と変わらないだろう」

このように考えたくなる気持ち、わかります。

しかし、名義はあくまで個人。どこまで経費に計上するのが妥当なのか、そして、どのような方法を取るべきなのか、考えてみましょう。

※画像は、自宅近くにいたネコのパシャリ。この野良ネコっぽい鋭さ、ジルにはない。。

この記事のポイント

  • 個人名義の車の経費を会社で計上する方法は2つ
  • 車の名義変更をする
  • 個人と会社で賃貸借契約を結ぶ

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名義を変更する

最も有効なのは、車の売買を行って名義を個人から法人に変更することです。

名義が法人となれば、冒頭の①から⑨すべてを法人の経費とすることに合理性はあります。

ただ、車の名義だけでなく、駐車場の契約や車庫証明、ローンの名義などの変更も同時も行わなくてはなりませんので、手間がかかってしまうことが難点でしょうか。

また、たとえば、駐車場の契約を変更できない場合に、他で駐車場を探さざるをえなくなり、結果として駐車場代が高くなってしまったといった事態も起きてしまうかもしれません。

買い取る法人→売買価格の算定には気をつけましょう

法人とまったく関係のない個人との間での売買の場合、各々が納得する売買価格であれば、それが市場価格からかけ離れていたとしても、なぜその売買価格なのかを説明できさえすれば、問題はありません。

しかし、法人に関係する個人(想定されるのは、社長やその家族でしょうか。)との間での売買の場合、市場価格からかけ離れた金額を売買価格にすると、確実に税務署から睨まれてしまいます。売買価格を意図的に操作できてしまうためです。ですので、この場合での売買価格は、市場価格に近似する金額とすべきです。

私がよく使っている手法は

  • 中古車検索サイトで、車種・年式・走行距離が近い車の取引価格を調べる
  • 複数の買取業者に見積もりを出してもらう

以上の方法により得られた最低価格から最高価格の範囲で、支払う法人の経済状況を勘案して、売買価格を決定しています。税務署の指摘を受けても、調べた取引価格や見積書を提示することでスムーズに説明ができるので、合理的な手法だと思います。

売却する個人→売却益に課税されます

売買価格-(取得費※+譲渡費用)-50万円=×××

※取得費=購入費用-売却前までの減価償却費

この計算式でプラスの金額が出る場合には、譲渡所得として確定申告が必要となります。

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賃貸借契約を交わす

名義変更ができないということであれば、個人と会社の間で車両の賃貸借契約を交わす方法が代替案として考えられます。

冒頭の①から⑥は、車の所有者に帰属するものなので、会社の経費には計上できませんが、⑦から⑨など車の使用に伴って発生する費用は、会社の経費に計上して問題はありません。

領収書は会社宛でもらう必要があります。個人宛だと私的利用を疑問視されます。

買い取る法人→賃料は適正額を算定しましょう

賃料を発生させること自体は、通常の経済活動から考えて当然と言えます。ただ、先ほどの売買価格と同じ問題になりますが、適正額に設定しないと税務トラブルが発生します。

適正額は、個人が負担する冒頭の①から⑥の費用を月間の利用時間や走行距離で按分し、都度請求する方法がありますが、レンタカー会社やカーシェアサービスの料金を参考に決める簡便的な方法も考えられます。

賃料が適正額よりも高いとどうなる?

適正額を超える部分の金額について、会社から個人への給与と認定され、徴収もれの源泉所得税と不納付加算税という罰金が課されます。

また、その個人が役員の場合、適正額を超える部分の金額が毎月同額でなければ、定期同額給与のルールから外れた給与として、税金計算上は経費にできなくなります。

さらに、会社は消費税の課税事業者である場合、給与と認定をされた適正額を超える部分の金額は仕入税額控除の対象から外れるため、消費税の追加納税と過少申告加算税、延滞税という罰金が課されます。

このように二重、三重のダメージを受けてしまうこととなるので、賃料を適正額よりも高く設定することは絶対に避けなくてはなりません。

賃料が適正額よりも低い、又は賃料を発生させないとどうなる?

たとえば、適正額100に対して60しか支払っていなかったとします。

これを仕訳にすると次のとおりです。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
賃借料100現金預金60
受増益40

適正額に満たない部分の金額については、所有者から寄付を受けたものとみなされ、収益(受贈益)が計上されます。その一方で、その部分に相当する金額につき賃借料が計上されます。つまり、収益と費用の両建となることから、損益への影響はありません。

ですから、賃料が適正額よりも低かったり、賃料を発生させなかったとしても実害は生じません。しかし、そのような賃料としている理由を問われるた際には、きちんと説明できるようにしておかなければなりません。

賃料を受け取る個人→賃料から経費を差し引いた金額に課税されます

受け取った賃料から冒頭の①から⑥の経費を差し引いてプラスになる場合には、そのプラスの金額=所得は確定申告が必要になります。

車の賃貸を本業にしている方であれば事業所得、そうでなければ雑所得として申告を行うことになります。

なお、プラスではなくマイナスとなる場合、事業所得のマイナスは他の所得のプラスと相殺できますが、雑所得のマイナスはそのような相殺はできません。

今回のまとめ

個人名義の車を会社の業務用で使用した場合に、経費を会社で計上するための方法として、

・名義を変更する

・賃貸借契約を交わす

の2つの方法をお話ししてきました。

売買価格や賃料、売った個人への課税など税務トラブルの原因となりかねない論点がありますので、実際にこれらの方法を運用される場合には、十分注意をしてください。

ジル観察日記

オットセイみたいですね(笑)

 

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