「個人事業主になったらボーナスがなくなる…」「自分へのボーナスって出せないの?」
結論から言うと、個人事業主が自分自身にボーナス(賞与)を支給することはできません。個人事業主には給与・賞与の概念がなく、事業の利益がそのまま所得になるためです。
ただし、ボーナスの代わりになる方法はあります。この記事では、個人事業主がボーナスを出せない理由と、賞与代わりに使える節税方法を解説します。
個人事業主にボーナスがない理由
会社員は会社から給与・賞与をもらいますが、個人事業主の場合は仕組みが根本的に異なります。
個人事業主の収入の仕組み
個人事業主の収入は「売上-経費=事業所得」として計算されます。この事業所得がそのまま自分の収入になるため、給与・賞与という概念が存在しません。
- 会社員:会社が利益の中から給与・賞与を支払う
- 個人事業主:事業の利益がそのまま自分の所得になる
また、個人事業主が自分への給与を「経費」として計上することも原則できません。自分への支払いは「事業主貸」という勘定科目で処理しますが、これは経費にはなりません。
青色事業専従者給与は例外
ただし、配偶者や家族が事業に従事している場合は「青色事業専従者給与」として給与を経費にできます。ボーナスも経費として認められる場合があります。
条件は以下の通りです。
- 青色申告をしていること
- 「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出していること
- 届出に記載した金額の範囲内であること
- 労務の対価として適正な金額であること
ただしこれはあくまで家族従業員への給与であり、事業主本人への給与・賞与にはなりません。
ボーナス代わりに使える4つの方法
ボーナスは出せなくても、手取りを増やしたり将来の備えを充実させる方法はあります。いずれも節税効果があるものを選ぶのがポイントです。
① 小規模企業共済に加入する
小規模企業共済は、個人事業主・フリーランスのための「退職金制度」です。毎月1,000円〜70,000円の範囲で掛け金を積み立てでき、掛け金の全額が所得控除になります。
- 年間最大84万円の所得控除
- 廃業・引退時に退職金として受け取れる
- 掛け金は月単位で変更可能
売上が多い月に掛け金を上乗せするなど、ボーナス感覚で活用できます。
② iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する
iDeCoは老後資金を積み立てながら節税できる制度です。個人事業主の場合、年間最大81.6万円まで掛け金を拠出でき、全額が所得控除になります。
- 掛け金が全額所得控除
- 運用益が非課税
- 受取時も税制優遇あり
小規模企業共済と併用することで、さらに大きな節税効果が得られます。
③ 経営セーフティ共済(倒産防止共済)を活用する
経営セーフティ共済は取引先の倒産に備える共済ですが、掛け金(月額5,000円〜20万円)を全額経費にできるという節税メリットがあります。
- 年間最大240万円を経費計上
- 40ヶ月以上加入で解約手当金が全額戻る
- 低金利で貸付も受けられる
ただし2024年10月以降、節税目的の短期解約に対して課税強化が行われています。長期的な活用を前提に検討してください。
④ 法人化して役員報酬+賞与を受け取る
売上が一定以上になると、法人化することで役員報酬と賞与(事前確定届出給与)を自分に支払えるようになります。役員報酬は給与所得控除が使えるため、個人事業主より税負担が軽くなるケースがあります。
法人化のメリット・デメリットや損益分岐点については、以下のシミュレーターで確認できます。
会社員のボーナスと個人事業主の収入を比較すると
会社員時代にもらっていたボーナスと、個人事業主になってからの収入の違いを整理します。
| 項目 | 会社員 | 個人事業主 |
|---|---|---|
| ボーナス | あり(会社による) | なし |
| 収入の安定性 | 高い | 変動あり |
| 節税の自由度 | 低い | 高い |
| 老後の備え | 厚生年金あり | 自分で準備が必要 |
| 退職金 | あり(会社による) | 小規模企業共済で代替可能 |
ボーナスがない分、節税の自由度が高いのが個人事業主の特徴です。上手に制度を活用することで、手取りを会社員以上にすることも十分可能です。
いくら節税できるか確認しよう
小規模企業共済やiDeCoを組み合わせると、年収によっては数十万円単位の節税になります。自分がどれくらい節税できるかは、以下のシミュレーターで確認してみてください。
よくある質問
Q:個人事業主が従業員にボーナスを出すことはできますか?
できます。従業員への賞与は経費として計上できます。所得税の源泉徴収と社会保険料の計算が必要です。従業員への賞与計算についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
Q:フリーランスになるとボーナスがなくなって生活が不安です
ボーナス分を月々の収入目標に上乗せして考えるのがおすすめです。例えば年収600万円(ボーナス年2回・月給40万円相当)を目指すなら、月50万円の売上を目標にします。適正単価の計算は適正単価計算機で確認できます。
Q:個人事業主の「生活費の引き出し」はボーナスと同じですか?
仕組みは異なります。個人事業主が事業口座から生活費を引き出すのは「事業主貸」という処理で、給与やボーナスではありません。経費にもなりません。事業の利益がそのまま所得税の課税対象になります。
まとめ
- 個人事業主が自分にボーナスを出すことはできない:給与・賞与の概念がないため
- ボーナス代わりに使える方法は4つ:小規模企業共済・iDeCo・経営セーフティ共済・法人化
- 節税の自由度は会社員より高い:制度を活用すれば手取りを増やせる
- 売上が増えてきたら法人化も選択肢:役員報酬+賞与が受け取れるようになる
ボーナスがない不安を感じているなら、まず節税シミュレーターで現状の税負担を確認することをおすすめします。節税できる金額が分かると、ボーナス分を別の形で取り戻せる見通しが立ちます。
この記事は2025年5月現在の情報に基づいて作成されています。税制は改正されることがありますので、最新情報は国税庁のWebサイトなどでご確認ください。
